11月最後の日は県立体育館で「学びの日」と称する催しがあり、おもちゃ病院も出張診療しました。毎年たくさんの人が訪れますし、おもちゃの修理依頼も多いので楽しみな日です。
写真は時間がかかりそうで入院ということでお預かりした、アンパンマンキーボードです。この機種はほんとに人気があるロングランのおもちゃで、これまでたくさんのバージョンが出ています。しかし故障が多いのも確かで、よくある故障は中心のIC固定部分です。電子回路は紙フェノール(ベークライト)という材料の板に薄い銅箔で配線しています。これにICをハンダ付けしてその上に樹脂を流して固めるというのが従来の方法でした。この板は安いのですが、水分の吸収や、周囲の温度変化でICが取れやすいのです。こうなるとおもちゃ病院の手には負えません。メーカーに出してもほぼ修理できないでしょう。
ところが、このバージョンを見て驚きました。下の写真の中央当たりに黒い丸があります。これが樹脂で固めたICですが、この部分だけ一辺3cmくらいのガラスエポキシ基板になっていて、それが大きなベークライトの基板に乗っかっています。これなら大事な部分は故障率が格段に低くなります。実際今回の故障もIC部分では無く、それより先のアンプとスピーカーの間の配線でした。
これからはアンパンマンのキーボードは直る確率がぐっと上がるでしょう。