ドクターNとKの診療室 - はしもとおもちゃ病院2

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ドクターNとKの診療室

アンパンマンパソコン (分解に苦労) 2017.4.8

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 アンパンマンパソコンのマイクとマウスのコードがぼろぼろになったという状況です。簡単に考えていたのですが、ディスプレイパネルの分解にえらく苦労しました。
 以前他のおもちゃ病院の記事で読んだのですが、隠しネジの発見法で磁石を使うという手があり、小型のネオジム磁石を道具箱に入れていました。これは実にはっきりわかります。ドライヤーで暖めてパネルのシートを剥がしてネジを外しました。ちょうつがいのところの2カ所も外したのですが、パネルが取れない。しかたなく、症例をネットで検索してみました。

 ヒットしたブログにメッセージを入れて質問してみたところ、奈良のおもちゃ病院に情報有りとのメールを頂きました。奈良おもちゃ病院のHPは時々拝見するのですが、今年2月の資料はノーチェックでした。詳しい資料を公開してくれています。
 例によってメッセージを入れるとすぐに返信を頂き、いろいろと懇切なアドバイスを頂きました。そしてそのメールに返信している最中にひらめきました。拝見している資料の写真をよく見たところ、答えが見えていたのです。あとは試したところあっという間に解決しました。
 そこで、私も奈良おもちゃ病院を見習って、資料を残します。私が陥った泥沼を紹介することで、もしかしたら誰かの苦労がなくなればと。

 それにしても、各地のおもちゃ病院で同じ型の製品がコード劣化で持ち込まれている様です。被覆がぼろぼろなのに中の線は丈夫。どうも被覆はウレタン素材の感触です。で、加水分解したのかもしれません。芯線はマイクが3芯、マウスは2芯で、どちらも芯1本あたり5本ほどリッツ線が入っています。ナイロンの芯に細い銅箔を巻き付けたもので、これが5本も。道理で外部被覆がぼろぼろになっても切れないわけです。
 線ごと全部取り替えるのはもったいないので、被覆だけかぶせることにしました。ガラス繊維製の柔らかいパイプを院長からもらいかぶせました。
分解手順です

スーパーオートステーション  2017.4.8

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 タカラトミーのスーパーオートステーションというプラレールとトミカを合わせて発車制御するためのもので、他の部品と組み合わせてレイアウトを作ります。プラレールは自走なので駅に着いたら床から浮かせて車輪を空回りさせることで停車させます。床に降ろせば発車です。トミカはもっと簡単でエスカレーターで上に上げて、ストップバーを降ろせば走り出すという物。これを制御するモードがプラレール、トミカともオートマニュアルの切替があって、別の動きをします。また、発車時にはアナウンスや、発車ベルがなります。

 全く動作しないということで、持ち込まれました。残念ながらスイッチや電源回りの配線の故障では無く、COBのICが全く反応しません。そこで、オーナーさんに出費を承諾して頂き、制御基板を作ることにしました。例によってAVRマイコンで計画しました。入出力の数が多いので、8ピン物では無理で、20ピンのAttiny2313というマイコンを使いました。
 音声の再現は手に負えませんのでご容赦頂き、動きをyoutubeで見て参考にしました。
 発車ベルは単純な音の断続でできるので、搭載しました。

 今回は今までに無く複雑な処理が必要で、プログラムの練習になりました。少しノウハウを増やせたと思います。また久しぶりに物作りをたっぷり楽しみました。
 回路図です(ただし、スイッチ周辺はもとの回路と全く変わっています)

ぴょんぴょん育脳マット 2017.3.11

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 これ実は再入院です。スイッチを入れても電源が入らないということで、前回の開院日にスイッチの接点を交換しました。そのときは正常だったのですが、持って帰るとまたダメになったとのことでした。スイッチは前回接点を交換したので導通は正常。ところが、回路全体に電源が通らない。じっくり見ないとわからないので入院としました。

 調べるとスイッチのあとに自己保持回路があります。たぶん一定時間が経過すると電源が切れるようになっているのでしょう。そこで思い出したのが、先日の「アンパンマンはじめて英語」です。あれも電源スイッチはONのパルスを送って短時間電源を入れて、あとは自己保持するようになっていました。そう思って回路をたどるとほぼ同じ仕掛けでした。使っている半導体はあちらはFETで、こちらはトランジスタですが、思想は全く同じです。そこでスイッチ直後のコンデンサを調べると容量抜けがわかりました。今回はチップではなく円筒型のアルミ電解22μです。手持ちのタンタルコンデンサを入れると、あっさり動くようになりました。

 写真下は回路部分のクローズアップですが黒い円筒型の間の緑色のが交換した22μです(赤矢印)。右端に転がしてあるのが、取り外したアルミ電解(青矢印)です。結果的にダブル障害と言うことで、二度も来てもらうことになりました。
 スイッチ周辺だけ回路図を作りましたので掲載しておきます。

*これを書いてからネットでメーカーのページで取説を見つけたので読みました。無操作10分で省エネモードになって電源ランプ以外は切れるとあります。

回路図

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re:回路図 Nさん 3/14(火) [編集]

大泉さんのご指摘の通りでした。隣のチップと見間違えていました。10Kです。オシロで見ても200ms以上電圧が高い状態です。早速修正しておきました。ありがとうございました。


re:回路図 つつじが丘おもちゃ病院 大泉茂幸さん 3/14(火) [編集]

ベース抵抗の221(220Ω)は小さ過ぎって思いませんか。22uFとの時定数は5ms足らずです。この時間でマイコンが立ち上がらないとは言えませんが、100msくらい余裕を持たせるのが普通だと思います。
また、220Ωだとベース電流が数10mAも流れることになり、変な設計ですよね。


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Yonezawa toys ラジコンロボット 2017.2.26

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 Yonezawa toys のウエーブハンターと書いてあります。米澤玩具という会社でしょうか、今はもう無いメーカーのようです。ラジコンで動くロボットです。動くと言ってもスイッチを入れるとひたすら前進し、コントローラで電波を送るとその間だけ後退に切りかわります。故障は簡単にモーターのピニオン割れで、交換して復旧。ロボットの内部を見られましたので、掲載します。

 写真の2枚目は内部の電子部品等ですが、おもちゃでは余り見かけないリレー(1回路2接点)が付いています。電波を受けるとリレーが動いてモーターの電圧を反転するしかけです。電波は何でも良いわけでは無く、600HzくらいでAM変調をかけると動作します。送信機の電波は変調とは言え、パルスで断続しているような波形です。一応誤動作防止なのでしょう。送信機の代わりに信号発生機で27.145MHzに1KHzでも400Hzでも変調をかけると動作します。送信機は電源スイッチを入れると何もしなくても電波を出していて、電池の006Pがもったいないように思えます。
 なんの動作もしないなら電波を切っておけばいいのに。今時の送信機は電源を入れても操作をしたときだけパルスで変調した電波が出ます。電源スイッチすらない送信機もよくあります。いろいろと変遷してそうなってきたのでしょうね。

 モーター制御も今のおもちゃならIC化したフルブリッジでしょうが、この時代はリレーを使って電池の中点タップとの間の電圧を反転してモーターに供給する方式を採用したようです。ブリキ製とまではいきませんがかなり古い物です。でもしっかりしています。made in japanです



re:Yonezawa toys ラジコンロボット 2017.2.26 つつじが丘おもちゃ病院 大泉茂幸さん 3/13(月) [編集]

このおもちゃのように、初期のラジコンは変調信号の内容に関わらず変調の有無だけで制御しているので、キャリアを止めると超再生がノイズを拾って誤動作を起こし易いのです。今時のラジコンはデジタルコードを送っているので冗長ビットをチェックすることでノイズを拾っても誤動作しません。


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アンパンマンはじめてえいご      2017.2.16

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 アンパンマンおしゃべりいっぱいはじめてえいご。長い名前ですが、要するにタッチ式の英語学習パッドです。電源が入らないと言うことで修理にお送りいただきました。中を見ました。電源スイッチは電源を直接ON/OFFしていません。ということはパソコンと同じで電源を入れるトリガ、切るトリガとしてスイッチを使っています。回路基板を眺めるとすぐに目に付いたのがチップ部品が外れた痕跡です。プリントパターンもはがれた跡があります。スイッチを入れたときにここに電源電圧がかかるはずなのにかからない。

 例によってまたネットを検索するとヒットしたのが、いつもお世話になっているMS工房秋葉(新津)のブログ。どらえもんロボットや、ラジコンカーなど情報をもらいっぱなしです。今回も回路図まで起こしておられたのですぐに動作がわかりました。それによるとコンデンサをとおしてスイッチONの電圧を伝えた後は自己保持し、スイッチを入れっぱなしでも操作しないで1分経過すると電源が切れるようになっています。スイッチを切ったときはその信号が内部に伝わり、内部で切断動作が走るようになっています。

 試しに強制的にコンデンサの後に信号を入れると、起動しました。一安心です。あとはコンデンサの大きさを決める必要がありますが、もしかしたらと先のブログのオーナーDr.にメールを出してお聞きしました。このブログでは別のところが修理対象で、コンデンサの容量は判らないと言うことでしたが、テスト方法をアドバイスしてくださったのでさっそくやってみました。その結果4.7μFで行くことにしました。チップコンデンサは持っていないので、ディップタンタルという大きめの部品です。(写真は基板の上側矢印がコンデンサのはがれた跡、下の矢印は4.7μを付けたところ。緑色なので見にくい)
 テストすると安定してON/OFF動作ができました。


 取説です

恐竜  2017.1.14

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 赤外線リモコンの恐竜です。故障自体は単純で、電池の液漏れによる極板と配線の腐食でした。単3を8本も使っているので極板もたくさんありますが、しかたが無い。不思議なのはこの8本が直列では無く、4本+4本の並列接続だったことです。たぶん消費電流の関係でしょうが、これこそアンバランスな電池を入れたりすると命取りです。  
 分解するとへんな鉄片が2個転がって出て来ました。点検中にからからと音がしたので、何かなと怪しんでいましたが、これでした。正体はしっぽの後ろの方に設置したバランスウエイトで、簡単にホットメルトで止めてあっただけだったので、外れたようです。

 修理を終えて、足を付ける前に動作を確認するために通電してみました。動きます。体をゆするとしっぽまでゆらゆらと揺れます。へびみたいで気持ちが悪いので、早々に打ち切って足も付けました。リモコンでテストしてみました。デモモードというのがあって、一通りの動作をするようです。動画を添付しますのでご覧下さい。やはりどうもあまり気持ちのいいものではありません。ちなみに爬虫類はきらいです。

*[MPEG4動画]

ラジコン車 スバルFRO (JOZEN) 2017.1.14

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 JOZENと言うメーカーのラジコンで、前輪の操舵はできるが、後輪が動かないとして持ち込まれました。カバーを取ってみると、制御基板のケースに大きな穴が空いています(写真上の右)。ケースを開くと基板の一部が黒焦げになっていました(写真下の赤矢印)。ケースの穴はその部分の上に相当するところで、熱で溶けたようです。オーナーさんに聞きましたら、特に発火などはしなかったということですが、ケガがなかったのが幸いでした。

 なかなか派手にこげているのは後輪モータドライブのPMOS-FETで、さわるとぽろっと取れてしまいました。跡は基板が炭化していて配線のパターンなど全く無くなっています。それでもそのための電流もれも特にないようです。
 代替のPMOS-FETを取り付けるのに、別基板にしようかとも思いましたが、ケースに収まりそうに無く、基板を眺めていると予備のモジュール設置用の空きエリアが目にとまりました。
これはこげたモジュールの横にもありまして、合計4個のPMOS-FETを乗せられる設計になっているのです。こげた部分とその隣は使えませんので、残ったモジュールの隣(写真右下端)に設置することを考えました。配線はそのままでは使えませんので、改造するために、まず回路図を起こしました。基板から回路図を起こすのはどうも苦手です。全体を回路図にするのが良いのですが、根気が伴いません。出力部のみをやっと回路図にしたら、あとは配線するだけです。配線は写真では見えない裏側にしています。

 でき上って目視点検をし、電流計を入れておそるおそる電源をつないでみました。ショートはしていないようです。送信機で前後の操作をすると、電圧が反転して出て来ます。各部の電圧も正常です。モータをつなぐと正常に動作しました。修理完了です。

中華製モータードライバIC

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 中華製のモータードライバを買ってみました。先日修理したプラレールアドバンスの中に入っていたドライバICが1個でHブリッジを形成しているものでした。同じ物をAliExpressで探しましたがないので、H-bridgeで検索すると出てきたのが、L9110というICです。表面実装用のSOPパッケージは使いにくいので、大きい8ピンDIPのを探しました。10個で2〜3.5US$という値段です。
 このICは3.2V〜12Vの電源で、出力は連続で800mA、ピークで2Aとなっています。制御入力はTTL,CMOSレベルコンパチブルで、マイコンICを直結できるとなっています。

 写真右は8ピンのマイコンICでこのモータードライバをテストしているところです。4Vくらいの電源を加えています。
 制御入力に応じて順調に回転方向が切りかわります。モーターに加わる電圧は電源から1Vくらい下がっています。送料込みの値段ですので1個40円弱、おもちゃ修理には十分使えそうです。

ムシキング  (ヘラクレスオオカブト)  2016.11.27

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 ムシキングというリモコンで動作するおもちゃ。ヘラクレスオオカブトですね。前進と右旋回をするはずなのですが、前進がカチャカチャと振動するばかりで空回りします。
 最大の難点は分解方法がわからないことでした。写真の茶色い甲羅はすぐに外れたのですが、その前の角が付いたかぶと部分が外れません。ギアのあるケースを分解するにはこのかぶとの下にあるビスを緩めないとならないのですが、取れないのです。
 いつものようにネットで検索すると2箇所のおもちゃ病院で修理記事が見つかり、早速問い合わせを出しました。千葉のおもちゃ病院ではまっすぐ上に抜けば抜けるはずとのご回答をいただきましたが、かなり力を加えてもダメでした。もう1箇所のおおさかおもちゃ病院からは差し込んである柱が接着されているので、抜けないはずだとの情報をいただきました。おそらく製造年により方法が変わったのではないかとのことでした。これであきらめが付きましたので、あっさり柱をのこぎりで切りました。写真下左がかぶとの下のケースを開いた所です。

 ピニオンが1個割れており(下左の写真で斜めに置いてあるギア)交換しました。ところが、動作は改善したものの足を地に付けるとやはり空回りします。不具合部はクラッチギアで、これが滑っているようです。油分を洗浄しましたがダメ。そこで、クラッチの当たりを強くする方法を採りました。写真下右の矢印の先がそれです。エナメル線を軸に巻き、スプリングを3分の2くらいに縮めました。これであまり滑らなくなり、地に足を付けても前進、右旋回ができるようになりました。
 再発した場合は別のムシから部品取りをするしかないかもしれません。今回もまた先輩諸氏に助けられてなんとかなりました、ありがとうございました。


アンパンマンカラーパソコンスマート  2016.12.10

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 アンパンマンカラーパソコンスマートというパソコン。液晶画面が表示されないというお話しです。画面の照明は大丈夫です。接続部の故障が多いことをお話しして預かりました。
 奈良おもちゃ病院のトミーマックさんが公開された資料をお持ちで、御自分でも内部を開けようと努力されたようです。おかげでシールの下のビスなどが簡単に外れ、すぐに内部にたどり着きました。

 故障部分は予想通り液晶と回路基板のコネクタでした。写真右の矢印の先が少し緩んでおり、指で押し込むとすぐに画面が表示されました。このコネクタは力がかかるところではなく、製造時の差し込みが甘かったのではないかと思われます。 



re:アンパンマンカラーパソコンスマート  2016.12.10 Nさん 10/28(土) [編集]

 それはよかったですね。お役に立てばうれしい限りです。


re:アンパンマンカラーパソコンスマート  2016.12.10 参考にさせて頂きました。さん 10/27(金) [編集]

まったく同じ原因の故障で、コネクタ押し込みで直りました。情報ありがとうございました。


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音声認識ロボット キクゾー  英語が得意? 2016.11.12

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 これも古い、TOMY1980年代製のロボット キクゾーです。ラジコンと言うより音声認識と言うところがミソで、ワイヤレスマイクの声で8種類の動作をさせることができます。電源スイッチを入れ、まず命令の音声登録をします。この登録はスイッチを切ると消えます。今のようにフラッシュメモリーに保存という機能はありません。

 参考記事がネットに出ていないかを調べてみますと1件ヒットしました。コウちゃんおもちゃ病院というところです。そちらはリモコン送信機の不良と、ロボットのモーターが回らないという症状だったようです。お預かりした物は送信機は正常でちゃんと音声の変調もかかっています。古い物なのでモーターかもと思ってケースを開けると、いきなりギアがバラバラっと落ちてきました。ケースで挟んで軸受けにしているタイプです。それにしてもたくさんのギアです。とんでもない量です。しかもモーターはたった1個。8種類の動きをたった1個のモーターで実現する方法は、遊星ギアです。ギアの写真で赤い矢印の先が遊星ギアの付いたドラム。黄色の矢印の先が遊星ギアです。ドラムのあちこちにいくつも付いています。ここでも、モーターの回転方向で動作が変わります。まずモーターが回るとドラムが回り、所定の場所まで行くと停止、次にモーターが逆回転します。ドラムは逆には回らないようになっていて、小さい遊星ギアが一斉に回ります。そのときに遊星ギアとかみ合っているギアが動いて所定の動作を行うというわけです。

 しかし、最初ケースを開けたときにギアがいくつかばらばらと落ちてきたときには焦りました。何度か組み立て、また開いてを繰り返すとギアの位置も覚えてしまい、それほどでもなくなりました。それにしても機械屋さんの設計というのはすごいものです。私など電子専門から見るとモーターを増やした方が簡単に・・・と思ってしまいます。

 不具合はやはりモーターで、軸が固くなっていました。注油して電圧を加えると徐々に滑らかに。組み上げてテストすると、どうも不安定で、まだ接点不良などがあったり、ギア位置がおかしいのでは無いかと心配になり、またケースを開けて点検です。不安定というのは音声への反応です。いろいろやってみた結果、英語でやると案外うまくいきます。ストップ、ゴウ、ライト、レフト、アップ、ダウンという調子です。子音を強調し抑揚をはっきりさせるとそこそこ判別してくれます。


放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14

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 ゴジラのおもちゃ。オーナーさんから歩いて吠える機能を戻して欲しいとのことでした。中を見ると無線の受信部分が存在しています。ところがオーナーさんの記憶にも送信機はなく、動作の詳細も判りません。そこで、メーカーのバンダイに電話してみました。最近はメーカーの対応があまりよくないことが多いようで、期待はしていなかったのですが、ここは違いました。お客様サポートというところがあって、実に丁寧に話を聞いてくれ、ゴジラの内部のシールの様子まで詳しくお話ししました。後刻電話を頂き、これは1994年発売の「放射発光爆進ゴジラ」という名称のラジコン製品。動作は送信機から前進と、右旋回の制御ができるというもので、送信機から操作しない限りゴジラは動きませんとの回答を頂きました。

 最初回路部分を調べていると、奇妙なところがいっぱいあって訳がわからなくなっていたのです。院長にも見てもらっていろいろと想像はしたのですが、はっきりと回答をもらって疑問が解けました。
 モーターを逆回転させる回路構成があり、これがナゾでした。足の裏に車輪があり、単純に前に進む方向にだけ回る仕掛があるのに、モーターの逆回転は何をするのかということです。答えは右旋回。モーターの逆回転では右足の車輪を完全に回らないようにし、左足を進めると右に旋回するというわけです。

 送信機が無いので、マイコンを組み込んで自律的に動くことを計画しました。30秒ほど歩いて、10秒ほど右に回りまた歩くという計画です。骨格のゴジラでのテストはうまくいき、皮をかぶせました。ところが、右旋回の途中で動作が重くなってモーターが止まってしまいます。右足の車輪を止めるとかなりの負荷がかかるようです。しかたないので、この機能はあきらめ、前進だけにしました。
 上の写真は修理が完了して歩きながら咆哮し背びれも光っているところです。下の写真はゴジラの骨格です。



re:放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14 Nさん 1/09(月) [編集]

大泉様 286円ですか。それは安いですね。http://tutujith.blog.fc2.com/blog-entry-173.html拝見しました・・・なるほど、こういう具合ですか。これは一度作ってノウハウを蓄積する必要有りですね。水晶や半導体は持っていますのでいちどやってみます。


re:放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14 つつじが丘おもちゃ病院 大泉茂幸さん 1/08(日) [編集]

つつじが丘おもちゃ病院の大泉です。
見積もりが1000円ではやらない方がいいでしょうね。
しかし、当方の事例では送信機の新規製作は268円でしたよ。
http://tutujith.blog.fc2.com/blog-entry-173.html
電子工作用のプラケースは高価なのですが、百均の樹脂ケースは安くて頑丈なので僕はよく使っています。体裁は悪いですが。。。

赤外線リモコンにすると送信機は安くできますが、受信側に赤外線受信モジュールが必要になるので、全体としては200円くらいになります。おもちゃの修理としては200円台が限度でしょうね。


re:放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14 Nさん 1/08(日) [編集]

大泉様 実は外部のSGでテストしてみました。AMで400Hz程度の変調で前進、600Hz以上で後退となります。簡単ではありますが、作るとなると費用がある程度かかりますし、オーナーさんとご相談して、歩けばいいので・・ということになりました。回路だけならそれほどではありませんが、ケースも含めて送信機となると1000円以下に抑える自信がありませんでした。流用できるジャンクの手持ちがあればいいのですが、部品以外はストックがないのです。


re:放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14 つつじが丘おもちゃ病院 大泉茂幸さん 12/28(水) [編集]

つつじが丘おもちゃ病院の大泉です。
遅レスですが、
この事例では「送信機を作る」のが最適解だと思います。恐らく2トーン式だと思いますが、受信回路はどうなっていましたか。


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ドラえもんザロボット 再入院  2016.10.27

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 ドラえもんザロボットが再入院です。また音が出なくなったそうです。前回、中のビスを切っていますので、今回は接着した頭部をカッターで切り離しました。スピーカーを点検するとやはり断線しています。別のスピーカーを試しに接続すると正常に音が出ました。これなら楽になおります。
 しかし、ちょっとまてよ、どうしてこんなにスピーカーが壊れるのだろうと考えました。スピーカーにかかる電圧を測定すると、直流成分の漏れは特にありませんでしたが、電圧が結構高い。2Vは出ています。スピーカーには8Ω、0.25Wと書いてあります。2Vですと0.5Wということになり、連続するとちょっときついのでしょう。当たり外れで、弱いスピーカーならじきに壊れるということだったのかもしれません。
 今回は少し大きめのスピーカーを付けて、さらに直列に保護用に抵抗を入れておきました。これでたぶん大丈夫でしょう。また接着剤で頭部を固定して完了しました。下の丸いのが今回取り外したスピーカーです。

アンパンマンパソコン  2016.10.8

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 アンパンマンパソコンのキーがいくつか効かないということで、入院。電源キーも効かないので、電池を入れるとオープニングメッセージが出て、それきりです。10分ほどすると時間切れで電源が切れます。

 外観を見ますとすぐに電池ボックスの異状に気づきました。ケースから取り出したのが右上の写真です。電池の液漏れで極板が全部腐食されています。切れてはいませんが、電源の線も中が真っ黒に錆びています。原因はこれかと、極板を全部替えました。しかし、状況は変わらず、キーが応答しません。全部のキーがダメなようです。画面は表示されていて、音も鳴るので、ICは生きていそうです。

 こうなるとフレキシブル基板の接点付近が怪しいと思い、見てみましたが正常。たどり着いたのがフレキシブル基板(フィルム基板)の線切れです。メインの基板との接点付近は良さそうなので、その先の屈曲部分を調べるとたくさん切れています。目では確認できませんが、テスターでの導通がないのです。ルーペで見ると、どうも導電性インクの厚みが足りないようで、すけすけです。それで、条件の悪い屈曲部で内部断線を起こしているようです。
 仕方ないので、そこを迂回して極細のポリウレタン線でつなぎました。フィルム基板には半田付けはできませんので、保護印刷の一部を削って露出させ、線を導電性接着剤(wire glue)で固定しました。wire glueは最初液体ですが、乾くとカーボンの接触度が増すようで、導通がよくなります。合計11箇所のバイパス手術となりました。一応別の接着剤で覆って保護しましたが、ぽろっと取れたら終わりです。もう少し確実な方法があれば良いのですが、フレキシブルは扱いにくいものです。

アンパンマンレジスタ 再   2016.10.5

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 しばらく前に修理したアンパンマンレジスタの再入院です。
 今回は電池の液漏れでした、腐食が進んで電池BOXの半田付け部で線がちぎれています。周辺を清掃して配線をし直しました。外した線の被覆をむいてみますとみごとに全体に錆が回って真っ黒です。基板のハンダでそれ以上の拡散は止まったようです。

 外部の読み取り子機のコードもぼろぼろでした。これも交換しました。今回はこの線の事を報告します。
 コードは親機と、子機の付け根で被覆が割れて中の8本の細い線が丸見えになっていました。ケーブルの被覆が劣化して割れているようです。これは交換するしかないと、同じくらいの太さの通信用ケーブルで交換しました。交換作業で基板の部分はさわりたくなかったので、本体の付け根付近で線を切って中継接続しました。そのときにハンダするために被覆をはがすと余り見かけない芯線が出て来ました。リッツ線です(高価です)。イヤホンのコードなどによく使われている線です。赤矢印の先の拡大写真を見て下さい。樹脂の芯に銅の薄い箔を巻き付けた構造で、さらにこれを3本よりにして1本にまとめています。きわめて曲げに強いので、外部の被覆が割れても芯線が切れることは少ないでしょう。修理する必要もなかったかもしれません。見かけは悪いですが。
 ということで、外部被覆と、内部導体のスペックのあまりのアンバランスに驚いた一件でした。

Pino 2016.9.10

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 Pinoというロボットです。今は亡きツクダオリジナル製だそうで、初めて見ました。丁寧に保管されていて、紙箱や取説もあります。説明書を読むと、遊んでやると3段階に成長するという仕掛けで、かなり複雑な動きをするようです。当然センサーがいっぱい付いています。音、光、赤外線、両手のスイッチ、頭のスイッチと6種類のセンサーで外部の状況を捉えるのです。

 持ち込まれたときは反応しないと言うことでした。電池を入れるとモーターが回っている音がしますが、動きません。カバーをどんどん外していくと、胴体内のギアボックスにあるモータからプーリーとゴムベルトでギアを駆動しているのが見えます。まずゴムが緩んで滑っています。しかし、その先も空回りしているようです。ということはギアボックス内のピニオンギアの割れかと見当を付けて分解しました。案の定割れています。10Tの山道ドライブ用ピニオンで入れ替えました。直径22mmのベルトを院長から頂戴して交換しました。快調に動きます。

 次は腰の部分のギアボックスです。ここも同じ状況で、ベルトとピニオンギアがダメです。しかし、ベルトは少しましなようなので、滑り止めに松ヤニを塗ってそのままとしました。そのときにギアボックス内に見慣れないギアがありました。写真の赤矢印の先です。遊星ギアのようです。よく見るとモーターの回転方向で全く違う動作をさせていることがわかりました。右回転の時は足を動かすギアにかみ合い、歩きます。左回転になると別のギアにかみ合って腰を振るのです。

 これを駆動するHブリッジ回路が故障です(水色矢印)。基板を外して調べるとトランジスタ6個の普通のHブリッジ回路なのになにか変です。トランジスタは8850と8550で、普通に見かける物です。どう見ても変なのであちこちの情報を漁るとありました。8550といってもS8550、SS8550ではなく、UTCのHE8550、HE8850はピン配置が違うのです。前者は足を手前にして右からCBEの順。ところが後者はBCEの順で、2SC1815などと同じなのです(写真4枚目)。この基板にはこれが混在していてきわめてややこしいことになっていました。しかし、結果はトランジスタの半田付けの不良と判明し.修理して動き出しました。ところが、これ以後テスト中にモータの配線を短絡させてしまい、Hブリッジ回路を壊すという二次故障となりました。その後壊れたトランジスタを取り替えてやっと復旧しました。そのほか手のタクトスイッチの交換も終わりました。ゆっくりやったので、二週間かかりました。

取説です

クレーンゲーム  2016.8.28

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 今回お預かりしたクレーンゲームはまだ新しいものです。バケットを降ろすときに開いたままでは無く、閉じてしまうと言う症状。中を開けて見ました。3枚目の写真に水色の矢印で指しているのがバケットを開くためのブレーキです。歯車(ギアではなく三角の歯車)にバネ状の刃が食い込んでいます。今回はこれが緩んでいてバケットの重さを支えきれずに落ちてしまっていました。そのために閉じてしまうのです。
 まず、この歯を固定するために2枚目の写真の緑の矢印のように刃にゴムを貼り付けて、上からかぶせるケースにしっかり当たるようにしました。しかしテストするとこれでもまだ不足です。そこで、3枚目の写真の赤矢印の様に薄い紙を刃の後ろに挟んで、刃の当たりを強くしました。今度はしっかりブレーキがかかって落ちません。
 しかし買ったときからこんな状態だったのでしょうか???。全部納めてテストしました、快調です。
 ところで、いままでのクレーンゲームに見られなかったものが付いていました。4枚目の写真の青矢印の先。これ、実はモーターの次のギアに噛んでいましてモーターが動くとこの車もがんがん回っています。なにかの具合で動かなくなったときに手で回して外部から正常な位置に持って行くためのものだそうです。当然モーターの数と同じく3個ありまして、向こう側と下側にも付いています。今回の修理でもモーターを無理に回さなくてもこの車を指で回せばテストできますので便利でした。

ボクシングロボ ラジコン    2016.8.13

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 ラジコンのボクシングロボット。胸にパンチを浴びると首が吹っ飛んで動作が停止するというものだそうです。最低2台で戦わせる想定です。ラジコンが効かないということですが、100均アンプのセンサーでは送信機は正常のもよう。
 受信機は普通の超再生と、RX2Bを使った回路です。トランジスタの電圧は普通の状態で、電流が流れています。オシロで見てみるとどうもクエンチング発振をしていない模様です。
 出力側のバイパスコンデンサを別に付けても同じ。エミッタ側のクエンチング時定数のコンデンサを並列に別付けしたところ発振し始めました。送信機を操作するとちゃんと制御できます。コンデンサの不良のようです。チップコンデンサの手持ちが無く、マイラーフィルムの3300PFを付けて修理完了としました。やはり他の部品と比べて巨大に見えます。

 実はこれを調べ始めたときに、受信制御ICのRX2Bに電源電圧が来ていないことに気づきました。これが原因かと思ったらそうではなく、首が吹っ飛んだらRX2Bの電源を切ることで動作を停止しているのです。やむなく、テスト中は輪ゴムでしばって首が飛ばないようにしました。


カシオ キーボード SA-1   2016.7.24

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 カシオのキーボードSA-1。電源スイッチを入れても反応無しとのこと。今回の報告は修理のことより、キーボードの造りについてです。
 キーボードはアンパンマンを初めとしていくつか修理しました。そのほとんどがCOB(チップオンボード)といって、ICを基板に直接貼り付けたもので、ここが故障するとほぼ悲観的でした。キーボード内部はややこしい接続がいっぱいで、へたに曲げると線が切れたりします。カシオのキーボードはそういった予想を完全に裏切る造りになっています。

1.基板にコネクタがない。唯一外部との配線接続はスピーカーで、直接結線しています。そのほかは電源スイッチや、電池の極板まで基板上にあって、余計な接続箇所がほぼないのです。

2.基板の固定が基板両端に引っかかっている爪だけ(左側下の写真の両端を参照)。もちろんそれだけではなく、裏蓋をしてそこからビス留めはあります。つまり裏蓋を外した時点で固定は爪だけということです。

3.COBではなく、モールドされた個別のICを使っている。これは古い設計なので、今後こうなるという物では無く昔はよかったという話。

 とにかく修理サイドからするとありがたい機械でした。特に、ICが2個あるので、そのデーターシートをネット上で探しますと、なんとキーボードの回路図そのものが出て来ました。2個のICの内大きい方のはデーターシートは見つかりません。Okiの製品ですが、海外でも探している人がいました。小さい方はスピーカーアンプと電源制御が入ったICです。調査の結果、故障は電源が入らないのというもので、小さい方のICの制御ピンへの配線不良でした。右側の写真で赤い○で囲った部分が電源スイッチの配線で、ジャンパーの部分です。ジャンパーはワイヤでは無く、導電性の塗料で、キー接点の配線などと同じ要領で作られています。そこで、別線で迂回の配線を施したところ正常になりました。

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