ドクターNとKの診療室 - はしもとおもちゃ病院2

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ドクターNとKの診療室

アンパンマンカラーパソコンスマート  2016.12.10

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 アンパンマンカラーパソコンスマートというパソコン。液晶画面が表示されないというお話しです。画面の照明は大丈夫です。接続部の故障が多いことをお話しして預かりました。
 奈良おもちゃ病院のトミーマックさんが公開された資料をお持ちで、御自分でも内部を開けようと努力されたようです。おかげでシールの下のビスなどが簡単に外れ、すぐに内部にたどり着きました。

 故障部分は予想通り液晶と回路基板のコネクタでした。写真右の矢印の先が少し緩んでおり、指で押し込むとすぐに画面が表示されました。このコネクタは力がかかるところではなく、製造時の差し込みが甘かったのではないかと思われます。 



re:アンパンマンカラーパソコンスマート  2016.12.10 Nさん 10/28(土) [編集]

 それはよかったですね。お役に立てばうれしい限りです。


re:アンパンマンカラーパソコンスマート  2016.12.10 参考にさせて頂きました。さん 10/27(金) [編集]

まったく同じ原因の故障で、コネクタ押し込みで直りました。情報ありがとうございました。


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音声認識ロボット キクゾー  英語が得意? 2016.11.12

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 これも古い、TOMY1980年代製のロボット キクゾーです。ラジコンと言うより音声認識と言うところがミソで、ワイヤレスマイクの声で8種類の動作をさせることができます。電源スイッチを入れ、まず命令の音声登録をします。この登録はスイッチを切ると消えます。今のようにフラッシュメモリーに保存という機能はありません。

 参考記事がネットに出ていないかを調べてみますと1件ヒットしました。コウちゃんおもちゃ病院というところです。そちらはリモコン送信機の不良と、ロボットのモーターが回らないという症状だったようです。お預かりした物は送信機は正常でちゃんと音声の変調もかかっています。古い物なのでモーターかもと思ってケースを開けると、いきなりギアがバラバラっと落ちてきました。ケースで挟んで軸受けにしているタイプです。それにしてもたくさんのギアです。とんでもない量です。しかもモーターはたった1個。8種類の動きをたった1個のモーターで実現する方法は、遊星ギアです。ギアの写真で赤い矢印の先が遊星ギアの付いたドラム。黄色の矢印の先が遊星ギアです。ドラムのあちこちにいくつも付いています。ここでも、モーターの回転方向で動作が変わります。まずモーターが回るとドラムが回り、所定の場所まで行くと停止、次にモーターが逆回転します。ドラムは逆には回らないようになっていて、小さい遊星ギアが一斉に回ります。そのときに遊星ギアとかみ合っているギアが動いて所定の動作を行うというわけです。

 しかし、最初ケースを開けたときにギアがいくつかばらばらと落ちてきたときには焦りました。何度か組み立て、また開いてを繰り返すとギアの位置も覚えてしまい、それほどでもなくなりました。それにしても機械屋さんの設計というのはすごいものです。私など電子専門から見るとモーターを増やした方が簡単に・・・と思ってしまいます。

 不具合はやはりモーターで、軸が固くなっていました。注油して電圧を加えると徐々に滑らかに。組み上げてテストすると、どうも不安定で、まだ接点不良などがあったり、ギア位置がおかしいのでは無いかと心配になり、またケースを開けて点検です。不安定というのは音声への反応です。いろいろやってみた結果、英語でやると案外うまくいきます。ストップ、ゴウ、ライト、レフト、アップ、ダウンという調子です。子音を強調し抑揚をはっきりさせるとそこそこ判別してくれます。


放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14

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 ゴジラのおもちゃ。オーナーさんから歩いて吠える機能を戻して欲しいとのことでした。中を見ると無線の受信部分が存在しています。ところがオーナーさんの記憶にも送信機はなく、動作の詳細も判りません。そこで、メーカーのバンダイに電話してみました。最近はメーカーの対応があまりよくないことが多いようで、期待はしていなかったのですが、ここは違いました。お客様サポートというところがあって、実に丁寧に話を聞いてくれ、ゴジラの内部のシールの様子まで詳しくお話ししました。後刻電話を頂き、これは1994年発売の「放射発光爆進ゴジラ」という名称のラジコン製品。動作は送信機から前進と、右旋回の制御ができるというもので、送信機から操作しない限りゴジラは動きませんとの回答を頂きました。

 最初回路部分を調べていると、奇妙なところがいっぱいあって訳がわからなくなっていたのです。院長にも見てもらっていろいろと想像はしたのですが、はっきりと回答をもらって疑問が解けました。
 モーターを逆回転させる回路構成があり、これがナゾでした。足の裏に車輪があり、単純に前に進む方向にだけ回る仕掛があるのに、モーターの逆回転は何をするのかということです。答えは右旋回。モーターの逆回転では右足の車輪を完全に回らないようにし、左足を進めると右に旋回するというわけです。

 送信機が無いので、マイコンを組み込んで自律的に動くことを計画しました。30秒ほど歩いて、10秒ほど右に回りまた歩くという計画です。骨格のゴジラでのテストはうまくいき、皮をかぶせました。ところが、右旋回の途中で動作が重くなってモーターが止まってしまいます。右足の車輪を止めるとかなりの負荷がかかるようです。しかたないので、この機能はあきらめ、前進だけにしました。
 上の写真は修理が完了して歩きながら咆哮し背びれも光っているところです。下の写真はゴジラの骨格です。



re:放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14 Nさん 1/09(月) [編集]

大泉様 286円ですか。それは安いですね。http://tutujith.blog.fc2.com/blog-entry-173.html拝見しました・・・なるほど、こういう具合ですか。これは一度作ってノウハウを蓄積する必要有りですね。水晶や半導体は持っていますのでいちどやってみます。


re:放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14 つつじが丘おもちゃ病院 大泉茂幸さん 1/08(日) [編集]

つつじが丘おもちゃ病院の大泉です。
見積もりが1000円ではやらない方がいいでしょうね。
しかし、当方の事例では送信機の新規製作は268円でしたよ。
http://tutujith.blog.fc2.com/blog-entry-173.html
電子工作用のプラケースは高価なのですが、百均の樹脂ケースは安くて頑丈なので僕はよく使っています。体裁は悪いですが。。。

赤外線リモコンにすると送信機は安くできますが、受信側に赤外線受信モジュールが必要になるので、全体としては200円くらいになります。おもちゃの修理としては200円台が限度でしょうね。


re:放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14 Nさん 1/08(日) [編集]

大泉様 実は外部のSGでテストしてみました。AMで400Hz程度の変調で前進、600Hz以上で後退となります。簡単ではありますが、作るとなると費用がある程度かかりますし、オーナーさんとご相談して、歩けばいいので・・ということになりました。回路だけならそれほどではありませんが、ケースも含めて送信機となると1000円以下に抑える自信がありませんでした。流用できるジャンクの手持ちがあればいいのですが、部品以外はストックがないのです。


re:放射発光爆進ゴジラ 2016.11.14 つつじが丘おもちゃ病院 大泉茂幸さん 12/28(水) [編集]

つつじが丘おもちゃ病院の大泉です。
遅レスですが、
この事例では「送信機を作る」のが最適解だと思います。恐らく2トーン式だと思いますが、受信回路はどうなっていましたか。


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ドラえもんザロボット 再入院  2016.10.27

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 ドラえもんザロボットが再入院です。また音が出なくなったそうです。前回、中のビスを切っていますので、今回は接着した頭部をカッターで切り離しました。スピーカーを点検するとやはり断線しています。別のスピーカーを試しに接続すると正常に音が出ました。これなら楽になおります。
 しかし、ちょっとまてよ、どうしてこんなにスピーカーが壊れるのだろうと考えました。スピーカーにかかる電圧を測定すると、直流成分の漏れは特にありませんでしたが、電圧が結構高い。2Vは出ています。スピーカーには8Ω、0.25Wと書いてあります。2Vですと0.5Wということになり、連続するとちょっときついのでしょう。当たり外れで、弱いスピーカーならじきに壊れるということだったのかもしれません。
 今回は少し大きめのスピーカーを付けて、さらに直列に保護用に抵抗を入れておきました。これでたぶん大丈夫でしょう。また接着剤で頭部を固定して完了しました。下の丸いのが今回取り外したスピーカーです。

アンパンマンパソコン  2016.10.8

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 アンパンマンパソコンのキーがいくつか効かないということで、入院。電源キーも効かないので、電池を入れるとオープニングメッセージが出て、それきりです。10分ほどすると時間切れで電源が切れます。

 外観を見ますとすぐに電池ボックスの異状に気づきました。ケースから取り出したのが右上の写真です。電池の液漏れで極板が全部腐食されています。切れてはいませんが、電源の線も中が真っ黒に錆びています。原因はこれかと、極板を全部替えました。しかし、状況は変わらず、キーが応答しません。全部のキーがダメなようです。画面は表示されていて、音も鳴るので、ICは生きていそうです。

 こうなるとフレキシブル基板の接点付近が怪しいと思い、見てみましたが正常。たどり着いたのがフレキシブル基板(フィルム基板)の線切れです。メインの基板との接点付近は良さそうなので、その先の屈曲部分を調べるとたくさん切れています。目では確認できませんが、テスターでの導通がないのです。ルーペで見ると、どうも導電性インクの厚みが足りないようで、すけすけです。それで、条件の悪い屈曲部で内部断線を起こしているようです。
 仕方ないので、そこを迂回して極細のポリウレタン線でつなぎました。フィルム基板には半田付けはできませんので、保護印刷の一部を削って露出させ、線を導電性接着剤(wire glue)で固定しました。wire glueは最初液体ですが、乾くとカーボンの接触度が増すようで、導通がよくなります。合計11箇所のバイパス手術となりました。一応別の接着剤で覆って保護しましたが、ぽろっと取れたら終わりです。もう少し確実な方法があれば良いのですが、フレキシブルは扱いにくいものです。

アンパンマンレジスタ 再   2016.10.5

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 しばらく前に修理したアンパンマンレジスタの再入院です。
 今回は電池の液漏れでした、腐食が進んで電池BOXの半田付け部で線がちぎれています。周辺を清掃して配線をし直しました。外した線の被覆をむいてみますとみごとに全体に錆が回って真っ黒です。基板のハンダでそれ以上の拡散は止まったようです。

 外部の読み取り子機のコードもぼろぼろでした。これも交換しました。今回はこの線の事を報告します。
 コードは親機と、子機の付け根で被覆が割れて中の8本の細い線が丸見えになっていました。ケーブルの被覆が劣化して割れているようです。これは交換するしかないと、同じくらいの太さの通信用ケーブルで交換しました。交換作業で基板の部分はさわりたくなかったので、本体の付け根付近で線を切って中継接続しました。そのときにハンダするために被覆をはがすと余り見かけない芯線が出て来ました。リッツ線です(高価です)。イヤホンのコードなどによく使われている線です。赤矢印の先の拡大写真を見て下さい。樹脂の芯に銅の薄い箔を巻き付けた構造で、さらにこれを3本よりにして1本にまとめています。きわめて曲げに強いので、外部の被覆が割れても芯線が切れることは少ないでしょう。修理する必要もなかったかもしれません。見かけは悪いですが。
 ということで、外部被覆と、内部導体のスペックのあまりのアンバランスに驚いた一件でした。

Pino 2016.9.10

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 Pinoというロボットです。今は亡きツクダオリジナル製だそうで、初めて見ました。丁寧に保管されていて、紙箱や取説もあります。説明書を読むと、遊んでやると3段階に成長するという仕掛けで、かなり複雑な動きをするようです。当然センサーがいっぱい付いています。音、光、赤外線、両手のスイッチ、頭のスイッチと6種類のセンサーで外部の状況を捉えるのです。

 持ち込まれたときは反応しないと言うことでした。電池を入れるとモーターが回っている音がしますが、動きません。カバーをどんどん外していくと、胴体内のギアボックスにあるモータからプーリーとゴムベルトでギアを駆動しているのが見えます。まずゴムが緩んで滑っています。しかし、その先も空回りしているようです。ということはギアボックス内のピニオンギアの割れかと見当を付けて分解しました。案の定割れています。10Tの山道ドライブ用ピニオンで入れ替えました。直径22mmのベルトを院長から頂戴して交換しました。快調に動きます。

 次は腰の部分のギアボックスです。ここも同じ状況で、ベルトとピニオンギアがダメです。しかし、ベルトは少しましなようなので、滑り止めに松ヤニを塗ってそのままとしました。そのときにギアボックス内に見慣れないギアがありました。写真の赤矢印の先です。遊星ギアのようです。よく見るとモーターの回転方向で全く違う動作をさせていることがわかりました。右回転の時は足を動かすギアにかみ合い、歩きます。左回転になると別のギアにかみ合って腰を振るのです。

 これを駆動するHブリッジ回路が故障です(水色矢印)。基板を外して調べるとトランジスタ6個の普通のHブリッジ回路なのになにか変です。トランジスタは8850と8550で、普通に見かける物です。どう見ても変なのであちこちの情報を漁るとありました。8550といってもS8550、SS8550ではなく、UTCのHE8550、HE8850はピン配置が違うのです。前者は足を手前にして右からCBEの順。ところが後者はBCEの順で、2SC1815などと同じなのです(写真4枚目)。この基板にはこれが混在していてきわめてややこしいことになっていました。しかし、結果はトランジスタの半田付けの不良と判明し.修理して動き出しました。ところが、これ以後テスト中にモータの配線を短絡させてしまい、Hブリッジ回路を壊すという二次故障となりました。その後壊れたトランジスタを取り替えてやっと復旧しました。そのほか手のタクトスイッチの交換も終わりました。ゆっくりやったので、二週間かかりました。

取説です

クレーンゲーム  2016.8.28

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 今回お預かりしたクレーンゲームはまだ新しいものです。バケットを降ろすときに開いたままでは無く、閉じてしまうと言う症状。中を開けて見ました。3枚目の写真に水色の矢印で指しているのがバケットを開くためのブレーキです。歯車(ギアではなく三角の歯車)にバネ状の刃が食い込んでいます。今回はこれが緩んでいてバケットの重さを支えきれずに落ちてしまっていました。そのために閉じてしまうのです。
 まず、この歯を固定するために2枚目の写真の緑の矢印のように刃にゴムを貼り付けて、上からかぶせるケースにしっかり当たるようにしました。しかしテストするとこれでもまだ不足です。そこで、3枚目の写真の赤矢印の様に薄い紙を刃の後ろに挟んで、刃の当たりを強くしました。今度はしっかりブレーキがかかって落ちません。
 しかし買ったときからこんな状態だったのでしょうか???。全部納めてテストしました、快調です。
 ところで、いままでのクレーンゲームに見られなかったものが付いていました。4枚目の写真の青矢印の先。これ、実はモーターの次のギアに噛んでいましてモーターが動くとこの車もがんがん回っています。なにかの具合で動かなくなったときに手で回して外部から正常な位置に持って行くためのものだそうです。当然モーターの数と同じく3個ありまして、向こう側と下側にも付いています。今回の修理でもモーターを無理に回さなくてもこの車を指で回せばテストできますので便利でした。

ボクシングロボ ラジコン    2016.8.13

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 ラジコンのボクシングロボット。胸にパンチを浴びると首が吹っ飛んで動作が停止するというものだそうです。最低2台で戦わせる想定です。ラジコンが効かないということですが、100均アンプのセンサーでは送信機は正常のもよう。
 受信機は普通の超再生と、RX2Bを使った回路です。トランジスタの電圧は普通の状態で、電流が流れています。オシロで見てみるとどうもクエンチング発振をしていない模様です。
 出力側のバイパスコンデンサを別に付けても同じ。エミッタ側のクエンチング時定数のコンデンサを並列に別付けしたところ発振し始めました。送信機を操作するとちゃんと制御できます。コンデンサの不良のようです。チップコンデンサの手持ちが無く、マイラーフィルムの3300PFを付けて修理完了としました。やはり他の部品と比べて巨大に見えます。

 実はこれを調べ始めたときに、受信制御ICのRX2Bに電源電圧が来ていないことに気づきました。これが原因かと思ったらそうではなく、首が吹っ飛んだらRX2Bの電源を切ることで動作を停止しているのです。やむなく、テスト中は輪ゴムでしばって首が飛ばないようにしました。


カシオ キーボード SA-1   2016.7.24

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 カシオのキーボードSA-1。電源スイッチを入れても反応無しとのこと。今回の報告は修理のことより、キーボードの造りについてです。
 キーボードはアンパンマンを初めとしていくつか修理しました。そのほとんどがCOB(チップオンボード)といって、ICを基板に直接貼り付けたもので、ここが故障するとほぼ悲観的でした。キーボード内部はややこしい接続がいっぱいで、へたに曲げると線が切れたりします。カシオのキーボードはそういった予想を完全に裏切る造りになっています。

1.基板にコネクタがない。唯一外部との配線接続はスピーカーで、直接結線しています。そのほかは電源スイッチや、電池の極板まで基板上にあって、余計な接続箇所がほぼないのです。

2.基板の固定が基板両端に引っかかっている爪だけ(左側下の写真の両端を参照)。もちろんそれだけではなく、裏蓋をしてそこからビス留めはあります。つまり裏蓋を外した時点で固定は爪だけということです。

3.COBではなく、モールドされた個別のICを使っている。これは古い設計なので、今後こうなるという物では無く昔はよかったという話。

 とにかく修理サイドからするとありがたい機械でした。特に、ICが2個あるので、そのデーターシートをネット上で探しますと、なんとキーボードの回路図そのものが出て来ました。2個のICの内大きい方のはデーターシートは見つかりません。Okiの製品ですが、海外でも探している人がいました。小さい方はスピーカーアンプと電源制御が入ったICです。調査の結果、故障は電源が入らないのというもので、小さい方のICの制御ピンへの配線不良でした。右側の写真で赤い○で囲った部分が電源スイッチの配線で、ジャンパーの部分です。ジャンパーはワイヤでは無く、導電性の塗料で、キー接点の配線などと同じ要領で作られています。そこで、別線で迂回の配線を施したところ正常になりました。

バケットカー  ピニオン割れ   2016.7.8

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 TOY STATE社のバケットカーです。ラジコンではなく、有線リモコンで動かします。バケットが上下しないとのことで、分解しますと、ジュラコン製のピニオンギアが割れて動きが伝わっていないことがわかりました。モーターの軸に付いているピニオンでは無く、減速ギアの最後についていて、バケットについているラックギアに当たっている部分です。
 我々はモーター用のピニオンギア交換には、おもちゃ病院で数種類持っているものを使います。しかしこれはすこし様子が違います。普通よく使うのが0.5モジュール(ギア外経mmを、歯数+2で割った数字。同じモジュールならギアの大きさが違っても歯の大きさが同じなのでかみ合う)です。ところが、このギアは0.8モジュールの10枚歯で、手持ちはもちろん、ネットで検索してもあまり出て来ません(金属製の部品で高価なものはあるようです)。写真のギアで、右側の大きいギアが0.5モジュールです。歯が小さいのがわかります。
 他所のおもちゃ病院の達人はギアの自作までこなしておられますが、私にはそこまでのスキルもツールもなく、割れたギアの温存を模索することに。ギアが割れて滑っているので割れた部分が開かないように糸で縛ることを考えました。相手のギアが薄いギアなら、ピニオンの周囲に糸を巻くということができそうですが、相手はラックギアなのでピニオンの全面が当たります。そこでギアの歯に絡ませてみました。最初はナイロンテグス。4号で結構強いと思いましたが、全然ダメでした。少し伸びるのです。いろいろ探して極細のステンレスワイヤをほどいて構成の一部を取り出して縛ってみました。ワイヤはほどけないようにエポキシで固めました。
 うまく動きます。しかし、いずれこのギアの別の箇所が割れた時はどうしようもないでしょう。

ミステリー トーマス   2016.7.9

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 写真は機関車トーマスです。プラレールでは無くもう少し大きなもので、床を走り回るトーマスです。裏側には円盤に付いた車輪が回り、方向を変えます。走り回ってものにぶつかるとバックして、方向を変えてまた走るというよくできたしかけです。
 今回の修理は内部のギアの空回りで、最初ピニオン割れかと思いましたが、そうではなく当たりが弱かったようです。調整して調子よく走るようになりました。それより、報告書を書くときにはたとこまりました。こういう機構の名前をいままで知らなかったのです。まあ、ちょっと調べたらすぐに出て来ました。この機構は「ミステリーアクション」とか「ミステリー走行」というそうです。名前さえあれば、困ることはありません。車体の下でくるくる回って、方向を変える例のやつ・・・。

アンパンマン タッチであいうえお教室キッズタブレット 2016.6.11

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 長い名前のおもちゃです。タブレットで、文字の部分をタッチすると発音したり、楽器になったり、いろいろと遊べる知育おもちゃです。上から4行めの え 行が動作しないということで持ち込まれました。見るのは初めてのおもちゃですが、この手のは、行と列の交差部分のタッチを検出するのが普通です。開いてみるとフィルムに導電性塗料を印刷した構造です。

 ただし、前に修理したことがある、2枚のフィルムが押された部分で接触するという構造ではなく、静電容量の変化を検出するタイプのようです。フィルムはおそらく3枚重ねで、真ん中のフィルムの両面にパターンが印刷されていて、さらに保護のフィルムで挟み込むという感じです。

 原因はすぐにわかりました。写真下、左側にある2カ所のへこみです。上側のへこみ(矢印)にあたる配線が え 行の検出ラインです。この写真はタブレットを開いて居る状態でして、もともとフィルムが写真の右側にかぶさっている状態でした。赤い矢印の先のオレンジ色のプラスチックの部品に突起が有り、フィルムに当たっていたのです。2カ所ありますが、下側のは幸い影響していませんでした。

補修はフィルムの付け根のところのコネクタから直接細い線を延ばして、 え行の部分に貼り付けた銅箔に接続します(上の写真右)。実はこの方法はネットで探してすぐに見つかりました。奈良のおもちゃ病院の修理事例をそのまま使わせて頂きました。スムーズに動作します。

 奈良のおもちゃ病院でも同じく え行がダメになったということで、完全にメーカーの設計ミスです。念のために突起をすこし削っておきました。

ベッドメリー 音も作った  2016.4.9

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 ベッドメリーです。子供が生まれて、上の子のときに使ったベッドメリーを使おうと思ったら動かないし、音も出ない、光らないという状況とおっしゃってお持ち頂きました。調べてみましたが、COB(チップオンボード)のICが全く反応しない。基板の腐食による断線とかも見当たらず、お手上げです。持ち主にお話しして光る部分と、回転する部分は何とかしますが、音はちょっと無理ですと、あきらめてもらいました。

 持ち帰ってマイコンICで制御部を作り、3色のLEDによる色の変化を徐々に行う制御をしました(右側の写真で別付けの基板上の大きい方のIC)。なかなかきれいです。徐々に変化させるというのは、PWMという機能でパルスの幅を変えることで電流の平均値を制御しています。

 こうしたことをしていて、以前から気になっていたサイトの記事を読み直しました。やはり音楽を何とかしたいと思ったのです。実験にとりかかりました。そのサイトは「ELMWaveTable電子オルゴール」で検索すると見ることができます。ここにはプログラムのみならずサンプルも掲示されていて、これがすごくいいのです。

 時間がかかりましたが、めどが付いたので持ち主にもう少し費用を掛けても良いということで了解を頂き、製作しました。右側の写真で白丸の付いた小さい方のICです。オルゴールの感じの音が、きれいです。曲を入れるのはほんとうに苦労しました。midiを楽譜にし、プログラムに合うようにデータとして入力、変換していきます。やっと8曲入りました。まだ半分しかICのメモリ領域を使っていませんが、これ以上はちょっとつらい。曲は私の好みで日本の唱歌ばっかりです。

 MP3を貼付します。mpeg4動画となっていますが、中身はMP3で画像はありません。聞いてみて下さい。家人いわく、「古い曲やねー」。古いけど名曲です。
 今回もまた、ネットに情報を公表してくれた達人のおかげです。

*[MPEG4動画]

re:ベッドメリー 音も作った  2016.4.9 Nさん 5/07(土) [編集]

 マイコンはやはり秋月です。送料がもったいないのでできるだけまとめて買うようにしています。アリババも試してみたいとは思っていますが、まだ実現していません。
 インテルとモトローラとは懐かしい比較です。ほんとにその通りですね。私はMC6800のICを買って組み立てていました。なんか、また今も非主流派になっています。


re:ベッドメリー 音も作った  2016.4.9 Nさん 5/07(土) [編集]

大泉さんのサイトにはいつも助けて頂いています、ありがとうございます。
 今回のケースはLEDの制御に3本のPWMが欲しかったのでATTiny2313を使いました。これができてから音に取り組んだので、別物になりました。うまくいくかどうかや、時間的に間に合うかどうかもわかりませんでした。
 オルゴールは開発者のChaNさんの記事でクロック速度を上げるために内部PLLを使うことという指定もあり、さらにプログラム領域の大きさも2313では足りません。手持ちの関係でAtTiny85を使いました。megaのAVRなら1個で満足する仕様のものがあるかもしれません。
 不合理と言われればその通りで、原因はスキル不足に尽きます。音を出すこと自体これまでやっていなかった事で、今回泥縄式にノウハウをかき集めた結果です。


re:ベッドメリー 音も作った  2016.4.9 つつじが丘おもちゃ病院 大泉茂幸さん 5/07(土) [編集]

ご教示いただき有難う御座います。

おもちゃの修理で回収できそうなコストでは、調達先は秋月しか考えられませんが、秋月でもAVRは比較的に高いです。ChaNさんの性能要件からピン数を多く要求するとmegaになってしまいますね。

PICはアーキが汚いし機能・性能も低くて使いたくはないのですが、コスト面でPICを選択せざるを得ないのが現状です。昔のインテルとモトローラの関係に似ていますよね。

ところで、Nさんはマイコンデバイスをどちらから調達されていますか。


re:ベッドメリー 音も作った  2016.4.9 つつじが丘おもちゃ病院 大泉茂幸さん 5/04(水) [編集]

いつもお世話になっております。つつじが丘おもちゃ病院 大泉です。

ご教示いただきたいのですが、LED・モーター制御のマイコンとオルゴール演奏のマイコンを別にしたのは何故なのでしょうか。

①マイコンを2つ使うのは、相互乗り入れの路線で初乗り運賃を2重に払うような不合理を感じます。
また、マイコン間のインタフェースも余分に作らないといけません。

②逆に言えば、このおもちゃで複数のマイコンに機能分散することのメリットとして、どんなことがあるのでしょうか。

宜しくお願い申し上げます。


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独楽 に加速度センサー  2016.2.28

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 これはコマです。上部のハンドルを回してねじを巻き、リリースするとハンドルからコマが外れて、回るしかけです。回ると内部にある加速度(遠心力)センサーが働いて電流が流れ、LEDがぴかぴか光ります。その反対側にはなんとレーザーダイオードが付いていて、回りに赤い光のビームをまき散らします。ビームは見えませんが周辺の壁や、物に当たって赤い光跡が走ります。
 写真右の矢印の先がそのセンサーです。スプリングがケースに入っていて、遠心力がかかると周辺に当たって、電流がながれると言う仕掛けです。レーザーはこどものおもちゃとしては危険な物ですが、回転しない限り光らないのでそれが安全策ということなのでしょう。

アンパンマンマジカルシロホン  2016.2.13

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 マジカルシロホンというのは、たたいて電子音を出す仕掛けで、音板の裏に貼り付けてある圧電素子(ピエゾセンサー)がたたかれたことを検出して電子音を出します。数字のちょうど裏側に直径2cmのセンサーを貼り付けてあります。古くなるとこれが壊れたり線が外れたりします。センサーの周辺は金属なのでしっかりしていますが、中央はセラミックに金属を蒸着した構造できわめてもろく、はがれやすくなっています。
 これをたたいて音を出すので、まあ、壊しにかかっているようなものです。ハンダがはがれたものは少し離れた場所に付け直すとなんとか性能が戻りますが、セラミックが割れて半分ほどになっているのは感度そのものが低下しています。強くたたかないと音が出ません。たまたま大阪に行く用があり、ついでに日本橋で探すといろいろ見つかりました。写真の円形の部品が圧電素子です。買ってきたのは左から@20円、@30円、@60円と3種類。@30円はさびて黒くなっていますが、すこし磨けば大丈夫。@60円のはきれいで蒸着した金属(たぶん銀?)が錆びていません。性能はいずれも良好でした。@20円のがとりわけ高感度でこれは掘り出し物です。
 さて感度の悪いところを交換します。


re:アンパンマンマジカルシロホン  2016.2.13 ドクター Nさん 2/23(火) [編集]

 @30円のは外れでした。少し磨いても全くハンダがのりません。@20円のはすごくよくのります。交換してみたらすこぶる調子よく鳴ります。掘り出し物です。

 外れと書きましたが、その後磨かずにハンダを乗せたらうまくいきました。磨いて蒸着がはげたようです。セラミックにはハンダはのりません。@30円のも無駄にならずによかった。


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CCPトヨタランドクルーザーダカールラリー2013  2016.1.24

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 ラジコン4輪駆動車です。後退はするが前進しないというお話しなので、受信制御部は生きていて、モーター駆動のあたりが故障と思われます・・と簡単に考えていました。Hブリッジのトランジスタをチェックすれば・・・ない。代わりにICが付いている(写真右の矢印部)。
 そこで、いつもお世話になっているおもちゃ病院新津(http://sejii.blog.fc2.com/blog-entry-255.html)のブログから頂いて資料に閉じてあったのを探すと、どんぴしゃの回路図がありました。それによるとICはMOSFETが2個(P型、N型)入ったものでした。
 後進はするということから信号を追いかけると、ICの右半分が壊れていることがわかりました。そこで、壊れた部分の足をカッターで基板から切り離して、代わりにFETとダイオードを外付けしたところ前進もするようになりました。
 驚いたのは、ICの半分が壊れたということです。各社のデータシートを見ると、個別の半導体2個を1個のパッケージに封入したとうたっているものもあります。これもそういう仕様で半分は生き残っているということかもしれません。
 回路図が無ければどれだけ苦労したか、この場合はICということであきらめていたかもしれません。貴重な資料の公開、いつもありがとうございます。

アンパンマンことば図鑑DX 完敗 2015.1.8

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 送って頂いたことば図鑑のペンですが、電源ランプが点灯せず、反応無しという状態。開いてみました(写真下)。昇圧はしていて、3.6Vほど出ています。画像処理のICに接続されている水晶は16MHzで、ちゃんと発振しています。ところが、そのほかの部分は3.6Vか、0Vの直流状態で反応無し。いろいろ試してみましたが、今の技量では故障原因もわからず完敗です。一応、状態の記録として各部の電圧などを記録し、写真もとりました。ところが、その後持ち主から部品取りに提供してあげようとのうれしいお言葉をいただきました。このおもちゃはけっこう持ち込まれることがあるので、これは助かります。
 しかしまた勝率が下がってしまった。

LeapFrog sipn&sing alphabet zoo 2015.12.12

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 リープフロッグというアメリカ?のメーカーが出しているスピン アンド シング アルファベット ズー という長い名前のおもちゃです。ドラムみたいな所を手で回転させると、止まったところのアルファベットに応じた動物の名前を言ったり、歌を歌ったりする知育おもちゃです。もちろん英語のネイティブの発音です。
 所々で鳴らないという症状です。接点の接触不良くらいかと軽く考えていました。裏面を開けて見ましたが、接点にたどり着けません。いろいろ見た結果、どうもドラムの横を開かないとだめのようなのです。ついにあきらめて、ドクターO(オー)に相談、しばらく診てもらうことにしました。しかし、できたという連絡が無いまま今日の開院日を向かえました。
 さらにみんなで見てみましたが、どうしても開け方が判らない。まさかドラえもんロボットみたいに切るわけにもいきません。完全に壊れてしまった訳ではないので、持ち主にお話ししてそのまま使ってもらうことにしました。
 今回は完敗です。もしどなたか、開き方をご存じでしたら是非ご教授ください。
 写真は全体(左)と底を開いているところ(右)です。

修理ツール アンプ   2015.11.26

添付画像

 以前おもちゃ病院のホームページをあちこち見ていたときに見かけたのがこれ。これは便利そうと思い、作ってみました。小型のアンプに電源表示のLEDとスピーカーも付けました。今回TVゲームの修理で便利に使いました。私の室内にはTVがないので、音だけで動作を見ながら作業するのです。音はそちらに目を向けなくても聞こえるので便利なのです。
 スピーカーもアンプも100均製品、テスト棒は日本橋で100円。占めて300円也。
 この書き込みを作るのに再確認したら、なんとドラえもんロボットの修理法でお世話になったあの、おもちゃ病院新津(新潟)のホームページでした。感謝。
http://sejii.blog.fc2.com/blog-entry-362.html

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